驚愕! お尋ねいたします。 加えて報告。
先般会議の中で、団長が「大丈夫でしょうか。あがりますかねぇ?」とおっしゃいました。これには少々ビックリいたしました。このことは真っ先に検討されたものと思っておりましたから。会社の方では、当初、どのように考えておられたのでしょうか。お尋ねいたします。
またその後の作業について、少し知見が得られましたので報告いたします。
「体積」は「相似比」の「三乗」に比例することから、下記揚鯨デーを検討してみました。
鯨種 体長(m) 体重(ton)
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ニタリ鯨 1, 体長 11.30m 体重 10.81トン
ニタリ鯨 2, 体長 13.32 体重 17.32
マッコウ鯨, 体長 11.27 体重 19.71
ニタリ鯨の「相似比」は、「大体長÷小体長」=「13.32÷11.30」≒1.18
これから、大体長の鯨の体重を予測すると、10.38×「(1.18)の3乗」≒17.7 となり、大体長のニタリ鯨の体重17.32トンにほぼ一致します。
この方法で、マッコウ鯨13mの体重を予測してみました。
19.71×「(13÷11.27)の3乗」≒30.2 30トンを超える重量になります。 15mでは、
19.71×「(15÷11.27)の3乗」≒46.47 46トン半にも達する重量になります。
これは、検貫台の取り付け部には、台重量3.2トンを加えると、13mのマッコウ鯨は、約33トン半、15mでは50トンにも達すること予想されます。
これでは、検貫台用ホイスト「安全使用荷重:SWL=15トン」を遙かに上回る重量となります。体重19.71のマッコウ鯨は、頭部、背皮などを切り落としても、その重量は、11.4トンであり、台重量を加えると14.6トンになります。これは検貫台の安全使用荷重のほぼ限界値に等しい重量です。
検貫に際しては、もっと部位を切り落として検貫するよう、調査団、作業員にも伝えてありますが、破壊した際には、「人身事故」につながりかねないので、この面においても不安があります。
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現在、揚鯨に使っているハンギング・シャックルは「限界使用荷重:WLL(SWL)9トン」となっています。
スリップ・ウェイの傾斜角度は、平均35°であり、鯨体の斜面を滑り落ちる力は、
F=W・sine35°≒0.6W と見ることが出来ます。
これから考えて、15トンの鯨は 9トン(シャックルのWLLと等しい)
20トンの鯨は 12トン
30トンの鯨は 18トン(WLLの2倍の力)の力が加わることになります。
さらにワイヤ・ロープについて検討します。 ここでは、強度略算式によって考えて行きます。
ワイヤー・ロープ直径をDとすると
破断力(略算強度:Bトン)=3×「(D÷8)の二乗」 となります。
揚鯨用メイン・ワイヤーの直径(D)は28㎜であり、破断力(B:略酸強度 )≒ 36.7トンです。
通常、使用に際し安全率を見込必要用があり、考察すると、
鯨重量W、 斜面を滑り落ちる力F、 破断力(B:36.7トン)/F とすると、
15トン F= 9.0 B/F=4.0
20トン F=12.0 B/F=3.0
30トン F=18.0 B/F=2.0
これは、 鯨重量が、重くなるに従い、メイン・ワイヤーの「安全率」(B/F)が小さくなっていることがわかります。「安全率」をギリギリ「4」としても、鯨重量15トンが限界という事になります。30トンの鯨を揚鯨する場合には、「安全率」は 「2」にまで低下することになります。つまり、13mのマッコウ鯨を揚鯨する場合には、「安全率が2」まで低下することになります。
今、補助用に「22㎜径、20㎜径 」の両ワイヤーを巻き込んだウインチが使えることから、これについて検討します。
大索D㎜ のワイヤーを 小索d㎜のワイヤー N本で代替するとすれば、その関係式は、
N=「(D/d)二乗」 と理解される。
D=28㎜、N=2とすると (dの二乗)=(Dの二乗)/2
d=D/√2=(D×√2)/2
従って、 d=(28×√2)/2=14×√2≒20(㎜)
となり、この2本を均等に張り合わせれば、メイン・ワイヤーと同等の強度が得られる。
これにより、メイン・ワイヤーと2本の補助ワイヤーを併用すれば、重量30トンの鯨を揚鯨する場合でも、ギリギリ、「安全率 4」を確保できる。
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その後、マッコウ鯨を揚鯨し、下記のデータから「実験公式」が得られましたので報告いたします。
No. 体長L(m) 体重W(Kg)
1. 11.27 m 19,504.4 kg
2. 12.77 m 30,352.4 kg
3. 11.61 m 21,339.8 kg
4. 8.82 m 10,159.9 kg
5. 8.17 m 7,363.3 kg
実験公式 : 体長と体重の相関関係と相関式
W=13.92×(Lの3.01乗) (Rの二乗)=1.00
これにより、考察を進める中で、「三乗に比例する」事がほぼ裏付けられた。
しかし、なぜ「ほぼ」なのか。これは、並行的に、調べられた「ニタリ鯨」(43頭)の相関式から
W=12.88×(Lの2.82乗) (Rの二乗)=0.92 が得られており、
マッコウ鯨もサンプル数が多くなれば、変わったものとなることが推察される。
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いくつかの資料は、次を参照されたし。
鯨百科 : cook whale A cook_whale.pdfをダウンロード
: cook B cook.pdfをダウンロード
鯨三種ほか : three kinds three_kinds.pdfをダウンロード
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